ひきこもりろん

広告ライターからエンジニアに転職し、現在はYouTuberデビューを目論んでいる「ひきこもり志願者」が日々の妄想を書き散らかすブログ。

【8日目】葉っぱと人類の日

IKEAの葉っぱをご存知だろうか。 もとは子ども向けベッドに取り付けられる遮光アイテムとして発売されたが、近頃はIT系企業の社員からも好評を博している一品である。

 

少し前の話になるが、このIKEAの葉っぱを私の上司が購入した。エンジニアとして常に流行を追い求めるその姿勢は、さすがの一言である。私はその日に「葉っぱ組み立て室」の副室長に任命され、業務の傍ら葉っぱを組み立てることになった。

 

組み立て作業自体は実にシンプルで、葉脈が描かれたナイロンの生地に細い金属パイプを通していくというものだった。ものの10分足らずで完成し、上司は嬉々として葉っぱを座席に取り付けようとした。実に微笑ましい光景である。

 

しかし、そのとき思わぬ落とし穴が発覚した。葉っぱが想像以上に重たかったのだ。マグネットで座席横のロッカーに取り付けるという上司の作戦は、そこであえなく失敗した。希望からの絶望。彼の落胆しきった表情を、私は生涯忘れないだろう。

 

仕方がなく、我々は葉っぱをガムテープで固定する「作戦B」を採択することとなった。設置時の見た目はいくらか不格好になるが、このまま使われずに廃棄されるのではあまりにも不憫である。上司もメルカリで葉っぱ代(2000円前後)を支払った後だったので、「捨てましょう」とは口が裂けても言えなかった。

 

強力なマグネットを用いても固定できなかった重量を、果たしてガムテープだけで固定できるのだろうか。そんな不安が頭をよぎったが、意外なことに葉っぱはすんなりとその身を委ねた。人類の勝利である。

 

ロッカーに磔にされた葉っぱは、上司の頭上から降り注ぐ蛍光灯のあかりを程よく遮断した。もちろん、上司は満面の笑みである。周囲の同僚たちもオフィス内に突然現れた葉っぱに驚き、やがて癒されていった。IKEAの技術力が人の心を動かしたのだ。

 

しかし、そんな穏やかな日はわずか1日で終わった。やはり葉っぱが重過ぎたのだ。翌週に出勤したところ、葉っぱはガムテープの拘束から解き放たれ、前方の席へと倒れ込んで進軍を始めていた。人類が再び敗北した瞬間だった。

 

以来、葉っぱは誰にも使われることなく、物置と化している窓際へと追いやられた。新入社員の方は、さぞかし疑問に思ったことだろう。光合成のし過ぎで巨大化したと勘違いされても仕方あるまい。もはや我々に彼を排除する術は残されていなかった。

 

しかし今日、大きな転機が訪れた。席替えである。人が動けば当然ものも動くので、長らく放置されていた葉っぱもようやく座席に取り付けられることになったのだ。

 

何故か私の座席に。

 

ざっと使用感を述べようかとも思ったのだが、前置きが長くなったので手短に記す。

 

ゆらゆら揺れてすっごく気が散る。

 

遮光性には優れているが、やはり完全に固定しなければ奴の不規則な動きは止められないようである。おまけに凄まじい閉塞感を感じる。偶然通りかかった人事のお姉さんからは「自分の殻に閉じこもるのは良くないですよ」と諭されてしまった。ごもっともである。

 

しかし周囲から見るとそれなりに面白い光景らしいので、来週いっぱいは試用期間として、お借りしておきたい。もしかすると愛着が湧きすぎて、葉っぱが無いと生きていけない身体になるかもしれない。さながら薬物中毒である。

 

※追記1

私もゲームセンターで手に入れたポムポムプリンのぬいぐるみを会社に置いている。いつか怒られないか不安である。